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死装束とは? 何をどのように着せてあげれば良い?

死装束とは? 何をどのように着せてあげれば良い?

故人を見送る際、死装束を着せるのが一般的だといわれています。しかし、それらについての知見がなく、どのようにしたら良いのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
今回は、死装束の概要や歴史、着せ方、宗教別の考え方、準備の方法などについて解説します。

【目次】

■死装束とは?

■死装束の着せ方
 ・襟
 ・帯
 ・その他の装飾品や小物

■宗教ごとの死装束の違い
 ・仏教
 ・神道
 ・キリスト教
 ・その他(無宗教など)

■死装束の準備方法

■本人もご遺族も納得できる衣装選びを

死装束とは?

死装束(しにしょうぞく)は、亡くなった方が身につける衣装のことを指しています。
なぜ亡くなった方に対して死装束を着せるのかというと、旅立ちに必要な格好とされているからです。人は亡くなった際に「あちら側の世界に旅立つ」という風に考えられていて、最後を迎えるのに相応しい格好という意味で死装束が着せられます。そのような服装は元々経帷子(きょうかたびら)と呼ばれていて、巡礼者や修行僧が着るものとされていました。それを死者に着せることは、あちら側の世界に旅立つことを意味しています。

ちなみに、死装束が白い理由は「巡礼者が白い衣装を着ていたから」といった説や「白は新たな始まりを象徴していて、死もひとつの節目だとされているから」といった説があります。ただ、多様性が認められる現代においては、白色ではない死装束も増えてきています。同時に、模様の入ったおしゃれなものも登場していて、伝統や風習に固執しない傾向が見られます。

死装束の着せ方

死装束を着せる際には、以下の事項に注意して着せる必要があります。


現代でも死装束を着せる際の襟は、左前で着せなければなりません。この世とあの世は真逆に位置する世界と考えられているからです。かつては身分の差で襟の位置を表現する時代もありましたが、現代では死者と生者を区別する意味合いが強いです。


死装束を着せる際には、帯の結び方にも注意しなければなりません。帯を縛る際にかた結びをして、蝶結びが縦向きになるようにします。ほどけやすく何度も結ぶ可能性のある蝶結びは繰り返し起こることを象徴しているため、お祝い事の際には蝶結びは使われますが、葬儀は何度も起こってほしくないことであるため、ほどけにくいかた結びと縦結びをするのが基本とされています。

その他装飾品や小物


死装束は、経帷子以外にも装飾品や小物を付けて、旅立ちに相応しい格好にしておく必要があります。装飾品や小物の例として、以下のものが挙げられます。

 ・笠
 ・天冠
 ・杖
 ・手甲(てこう)
 ・脚絆(きゃはん)
 ・草鞋(わらじ)
 ・白足袋
 ・頭陀袋(ずたぶくろ)
 ・六文銭
 ・数珠

これらの装具はあの世までの長距離の道を、無事に徒歩で辿り着けるようにサポートできるものとして用意します。白足袋、脚絆、手甲、草鞋は故人に身につけます。頭陀袋は六文銭を入れて棺に入れます。天冠は棺の上側に入れます。六文銭は「三途の川の渡し賃」として頭陀袋に入れる風習が江戸時代頃に生まれ、現代まで続いています。

宗教ごとの死装束の違い

日本にはいくつかの宗教・宗派が存在していて、死に対する考え方が異なります。そのため、自分の宗教・宗派に合わせた死装束の準備が必要です。
ここでは、宗教・宗派別の死装束の考え方について解説します。

仏教


仏教の場合は基本的に「人が亡くなると浄土を目指す旅に出る」といわれています。浄土を目指す旅は、人から仏になるために必要とされる修行と考えられていて、その修行僧として相応しい格好として死装束を身につけます。前述のような経帷子や笠、手甲、脚絆、足袋、杖などが挙げられます。
ただ、仏教にもいくつか種類があり、若干考え方が異なることもあります。特に浄土真宗では、阿弥陀如来の力によって「人は亡くなればすぐに仏に生まれ変わる」とされていることから、死装束は必要ないと考えられています。

神道


神道の場合は「人が死を迎えると神様から与えられた命を、神様に返さなければならない」と考えられています。そして「子孫や家系を守る守護神になる」とされています。そのため、人が亡くなると守護神に近い格好をさせるべきと考えられていて、神社の神職の方が着るような姿にさせるのが一般的です。例えば、白丁(はくちょう)や烏帽子(えぼし)、笏(しゃく)、白い小袿(こうちき)などが挙げられます。

キリスト教


キリスト教には死装束を着るといった考え方はありません。特に着せるものに決まりはなく、生前によく着ていた服やスーツ、ドレスなどを死装束として着せることが多いです。必ずしも守ることが決められているわけではありませんが、木製の十字架を手元に添えることがよくあります。

その他(無宗教など)


人によっては、どの宗教にも属していないという場合もあります。そのようなケースでは、特に決まりはないので、亡くなった方が生前に好んで着ていた服を着せても良いでしょう。一般的な死装束とされるもの以外を着せる場合は、念のため葬儀社や司祭者に相談してみてください。最近ではいわゆる死装束とされるものを着せないことも珍しくないため、死装束以外のものを着せることに対するハードルは下がってきています。

死装束の準備方法

死装束を準備する方法としては、葬儀会社に用意してもらう方法が一般的です。そのため、自ら用意する必要はありません。最近では送り出す姿の選択肢も増えてきています。「こういう姿で故人を送り出したい」という希望があれば、葬儀会社に相談してみましょう。

本人もご遺族も納得できる衣装選びを

死装束は、死者があの世に向かって旅をするための格好といわれています。しかし、実際にはその考え方は宗教ごとに異なっていて、死装束は必ずしも着せなければならないものと決められているわけではありません。

最近では、終活を行う方も増えて死に対する多様性が重視されるようになってきています。そのため、生前から「旅立ちの際にはどんな服装が良いのか」を自ら決めておくことも珍しくなくなりました。そういった流れから、その人にあった葬儀を考えて選択することをおすすめします。

「どうすればよいかわからない」「このようにしたい」といった質問や要望があれば、葬儀会社へ事前に相談することをお勧めします。

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