お役立ち情報
2022/05/11
衷心(ちゅうしん)とは?意味や使い方について
「衷心(ちゅうしん)」という言葉をご存知でしょうか?あまり目にしない言葉なので、読み方や意味がよくわからないという人も多いでしょう。衷心とは、冠婚葬祭などの時に送る電報やお礼状、ビジネスシーンなどで使われる言葉です。日常生活では使うことが少ないのですが、いざ使うべき時に正しく使えるように、覚えておくことをおすすめします。今回は、「衷心」の意味や使い方をシーン別の例文とともに解説します。
目次
■衷心の意味と読み方
■衷心の語源
■衷心はどんな場面で使う?
・書き言葉
・弔電やメールなど
・不幸やお詫び以外の場面
■衷心を使った例文
・お悔やみ
・お詫び
・感謝
・お祝い
■衷心の類義語
・心より・心から
・本心
・切に
■「衷心」を葬儀の場で使うことはNG?
■葬儀で遺族にお悔やみの言葉をかける注意点は?
・シンプルな言葉を使う
・話は手短にする
・励ましの言葉には注意する
・死因は尋ねない
■葬儀で避けるべき忌み言葉
・重ね言葉
・不幸や死を連想させる言葉
・不吉な言い回し
■声をかける言葉の例
・遺族に声をかける言葉
・受付の人にかける言葉
・親族に声をかける言葉
■衷心の英語表現
■大人のマナーとして覚えておきましょう
衷心の意味と読み方
衷心は、「ちゅうしん」と読みます。普段はあまり使わない言葉ですが、お悔やみの言葉として、またお詫びをする場面やビジネスシーンにおいて使われることがあるので、正しい使い方を知っておきましょう。
衷心には「まごころの奥底」や「心の真ん中」という意味があります。衷という漢字には、人間の心の中や偏らない気持ちという意味があり、心からの気持ちを表しています。「衷」という文字は、哀しいの「哀」の字と似ていますが、意味がまったく異なりますので間違えないように注意してください。葬儀の場で使われることが多いため哀しいと誤解されることもありますが、お祝い事でも使う言葉なのです。「心から」と同じ意味になりますが、「衷心から」を使うと、より意味が強くなり重みのある印象を与えることができます。
衷心の語源
衷心という言葉の語源は、漢字の成り立ちに由来します。「衷」という漢字は、中という字と衣の字の組み合わせでできています。衷には中に着る衣、つまり「肌着」という意味があるのです。これが転じて「まごころ」「まこと」という意味も表すようになったと言われています。衷の文字に心という文字をつなげて「心の奥底」という強い意味のある言葉になったということです。
衷心はどんな場面で使う?
衷心は、以下のような場面で使用します。
- 書き言葉
- 弔電やメールなど
- 不幸やお詫び以外の場面
書き言葉
衷心は、話し言葉ではなく書き言葉として使います。会話の中で使うのではなく、電報やメールの中で使うことが正しい使い方です。葬儀の場で遺族に対して「衷心よりお悔やみ申し上げます」と発言することは適切ではありませんので、注意しましょう。失礼にはあたりませんが、遺族に対して直接言葉を述べる場合には「心よりお悔やみ申し上げます」とする使い方が適しています。また、お礼のメールで衷心を使う場合は「衷心よりお礼申し上げます」のように使いましょう。
弔電やメールなど
先に挙げた通り、衷心は書き言葉として使用されるため、弔電やメールなどで多く使われます。弔電には字数制限があるため、短い言葉で電報を出す相手に対して気持ちを伝えなければなりません。「衷心よりお悔やみ申し上げます」「衷心より哀悼の意を表します」と表現することで、心からの気持ちが相手に伝わりやすくなります。
また、ビジネスシーンにおいても、取引先の人や上司などの立場が上の人に対して用いるのにふさわしい言葉です。例えば、「この度の弊社の不手際、衷心よりお詫び申し上げます」などの使い方をします。
不幸やお詫び以外の場面
衷心という言葉は、弔電やお詫びで用いられることが多いため、弔辞で使うイメージが強いかもしれません。しかし、衷心は祝福や喜び、感謝の気持ちを表す時にも使用します。店舗の開店をお祝いする場合などは、「貴店ご開店にあたり、社員一同衷心よりお喜び申し上げます」などのように使いましょう。
衷心を使った例文
衷心は、お悔やみ・お詫び・感謝・お祝いなど様々な場面で使うことができます。それぞれの例文を紹介しますので参考にしてください。
お悔やみ
訃報の知らせを聞いた時にうつ弔電で使う他に、入院している人や災害に見舞われた人に対するお見舞いの言葉としても「衷心」を使う場合の例。
- ご訃報に接し故人を偲び、衷心より哀悼の意を表します
- この度の地震で多大な被害に見舞われた由、衷心よりお見舞い申し上げます
お詫び
取引先や上司など、第三者に負担をかけた際や謝罪をする時に「衷心」を使ってお詫びの言葉を述べ、強い気持ちを伝える場合の例。
- この度の不祥事に際し、衷心よりお詫び申し上げます
- 病気療養中は多大なるご負担をおかけしましたこと、衷心よりお詫び申し上げます
感謝
上司や先生に対するお礼の気持ちを表す時や、定年退職する人への功労に対して感謝の気持ちを述べる時に、「衷心」を使う場合の例。
- 長年のご功労に対し、衷心より感謝申し上げます
- 日頃からのごひいきを賜り、衷心より御礼申し上げます
お祝い
結婚式や開店祝い、創業祝などのお祝いの言葉として「衷心」を使う場合の例。
- この度の事業海外進出を果たされた旨、衷心よりお祝い申し上げます
- ご息女〇〇様のご結婚の知らせ、衷心よりお祝い申し上げます
- 創業50周年を迎えました由、衷心よりお喜び申し上げます
心より・心から
心よりは、文語的な表現です。「この度は心よりお悔やみ申し上げます」という使い方をします。一般的に使われる言葉で「衷心」よりも聞きなれているので、意味も伝わりやすいでしょう。意味としては、衷心よりも弱くなりますがこちらを使った方が良い場合もあります。
一方の「心から」は、心よりと意味は同じなのですが、口語的な表現なので日常生活でもよく使われます。「ご協力に心から感謝します」などの使い方をします。「心より」と「心から」共に「衷心」と同じ意味ですが、文語的な表現であることから「心より」のほうが、衷心に近い言葉と言えます。
本心
本心は、人の心の中にある気持ちや、上辺や建前ではなく本当の気持ちという意味です。衷心と同じ意味で日常的に使う言葉であることから、改まった文章には向いていません。本心は文語的、口語的のどちらでも使用します。「先ほどの私の発言は、本心からではありません」のように使います。
切に
「切に」も、衷心と同様に心から強く思っているという意味で使う言葉です。「今後のご活躍を切に願っております」という使い方をします。
「衷心」を葬儀の場で使うことはNG?
衷心は、心からの気持ちを表しているため葬儀の場でもよく使われています。心の底からの気持ちを表すため、お悔やみの気持ちを伝えるために適した言葉です。ただし、書き言葉として使用するため、葬儀の場では弔電で用いられます。葬儀の場で「衷心」を使うことは、失礼にはあたりませんし、マナー違反ではありません。遺族にお悔やみの言葉をかける場合は、衷心ではなく「心から」などの口語を用いることが適切です。
葬儀で遺族にお悔やみの言葉をかける注意点は?
実際に葬儀で言葉を伝える場合、遺族にどのような言葉をかけたら良いのでしょうか。考えすぎてしまい、かえって失礼なことをいってしまうこともあります。お悔やみの言葉を伝える方法と注意点を紹介します。
シンプルな言葉を使う
お悔やみの言葉は、どうしても難しい言葉を使おうと考えてしまいがちです。しかし、ありきたりな言葉が適していることも。難しく考えるあまり、余計なことをいってしまい失礼にあたる場合があるためです。遺族は、大切な人を亡くして悲しみの中にいるためデリケートになっています。何気なく放った一言で傷つけてしまうことがあります。より悲しませてしまわないように、お悔やみの言葉はシンプルな言葉を使うように心がけましょう。
話は手短にする
葬儀に参列した際は、遺族に直接会ってお悔やみの言葉を述べたいと思う方は多いでしょう。しかし、遺族は多忙なため全ての参列者と話をする時間を取ることはかなり難しいといえます。挨拶をする時にはタイミングを伺って、話は手短に済ませるように心がけましょう。お疲れであるということに配慮することを忘れないようにしてください。
励ましの言葉には注意する
力を落としている遺族に対して、前向きな言葉をかけたいという気持ちがあっても「頑張って」や「元気を出して」などの言葉は避けたほうが良いでしょう。悲しみの中にいる遺族は、前向きな気持ちになることが難しい可能性があります。励ましの言葉は時には負担になることもあるので、十分な配慮が必要です。
死因は尋ねない
突然の訃報の場合、死因が気になるかもしれません。しかし、死因に触れてしまうと、遺族の悲しい気持ちをより強くしてしまう可能性があります。遺族に直接死因を尋ねることは避けましょう。こちらから尋ねることはせず、遺族から話があった場合は耳を傾けましょう。もし、死因を知っていた場合も、葬儀の場で死因について他の参列者に話すことはマナー違反なので注意してください。
葬儀で避けるべき忌み言葉
通夜や葬儀の場では、避けるべき忌み言葉があります。知らずに使ってしまうと遺族を傷つけてしまったり、恥をかいてしまったりする可能性があります。忌み言葉について解説します。
重ね言葉
同じ言葉を繰り返す言葉を「重ね言葉」と言います。重ね言葉は、不幸が繰り返されるということを連想させるため、葬儀で使うことは避けなければなりません。「ますます、重ね重ね、まだまだ、くれぐれも、いろいろ、ふたたび」などは何気なく使ってしまいがちな言葉ですが、通夜や葬儀の場では使用しないように意識しましょう。
不幸や死を連想させる言葉
生死を直接連想させるような言い回しは、葬儀などの場において避けなければなりません。遺族の持ちに寄り添い、言葉の一つ一つに気を配りましょう。具体的には、「死ぬ、生きる、生きていた、死去、亡くなる、生存、急死」などがそれにあたります。
不吉な言い回し
直接生死を連想させる言葉ではなく、不吉な言い回しも避けるべき言葉です。遺族の心は神経質になっている可能性があるので、ネガティブな言い回しはしないようにしましょう。例えば、「浮かばれない、消える、苦しみ、哀しみ、散る、枯れる」などがこれにあたります。
声をかける言葉の例
それでは、葬儀ではどのような言葉をかけるのは適切なのでしょうか。声をかける相手別に紹介します。
遺族に声をかける言葉
葬儀の際、遺族は忙しいので遠くから会釈をするだけでも失礼にあたりません。声をかける場合には手短にしましょう。
・この度はご愁傷さまです。心よりお悔やみ申し上げます。
受付の人にかける言葉
葬儀の受付をする人は、故人の親戚や親しい知人であることが多くなっています。受付で香典を渡す際には、一言声をかけることがマナーです。葬儀社のスタッフが受付を担当している場合も、お悔やみの言葉を添えましょう。
・この度はご愁傷さまでございます。
親族に声をかける言葉
親族に声をかける場合は、「ご愁傷様」というかしこまった言葉を使う必要はありません。もう少し、砕けた言葉で問題ありませんが、しっかりとお悔やみの気持ちを伝えましょう。
・この度は突然のことで驚いております。
衷心の英語表現
衷心は日本語で「心の真ん中」という意味であるため、英語でも心を表す「heart」を用いた表現をします。
衷心を英語で直訳すると「true heart」「inmost heart」となります。心からという意味の副詞「heartily」を使うと、「she heartily thank you(彼女はあなたに衷心から感謝しています)」という文章になります。心からのという形容詞「hearty」を使うと、名詞を修飾して「衷心からの〇〇」という文章を作ることが可能です。以上の点を踏まえると、以下のように表現ができます。
・Please accept our hearty congratulations.(衷心よりお祝い申し上げます)
英語で伝える必要がある場合は使ってみましょう。
大人のマナーとして覚えておきましょう
今回は、「衷心」の意味や使い方をシーン別の例文などを詳しく紹介しました。
衷心は、話し言葉ではなく冠婚葬祭の電報やメールなどの特別な場面で使う書き言葉なので、見慣れない人も多いでしょう。しかし、心からの強い気持ちを伝えるために使う言葉なので、マナーとして意味や使い方を知っておくのが理想です。葬儀の場などお悔やみの言葉を述べる時に使う場面が多いのですが、お祝いや感謝の気持ちを伝える時にも使うことができます。同じ意味の話し言葉の「心から」と一緒に覚えておくと、大人のマナーとして役立てることができます。
とはいえ、葬儀をはじめとした冠婚葬祭のマナーは、言葉の使い方だけに留まりません。挨拶状の書き方や香典返しの選び方、服装の選び方に至るまで、あらゆる場面でマナーが求められます。こういったマナーは日常生活でなかなか学べる機会が少なく、いざという時に慌ててしまうケースもしばしばです。
このような理由から、落ち着いてお見送りをすることで悔いのない葬儀にしたいと考える方が多く、葬儀について事前に相談される方も増えています。ご家族など身近な人が亡くなった悲しみの中で正しい判断をすることは難しいでしょう。事前に葬儀の流れ、費用など葬儀に関する知識があると、いざという時に安心です。
公益社の事前相談なら、ご指定いただいた場所にお伺いして何度でも無料でご相談にお答えします。電話でのご相談は24時間365日、専門のスタッフが親身に対応いたします。
会員入会で葬儀費用がお得になります
プレビオクラブ会員募集中!
- 入会金1万円(税込)で2親等まで何度でもご利用可能
- 年会費・月会費0円!
- 2万円相当の割引券
葬儀のことでお困りの時は
公益社にお電話ください。
無料相談