葬儀
2021/08/13
故人を生前のお姿に近づける技術「エンバーミング」とは?
生前の元気な姿に近づけてお別れすることができる技術「エンバーミング」をご存じでしょうか。
ご遺体は、時間が経過すると腐敗が進みますが、エンバーミングをしておけば腐敗を遅らせることができるため、火葬の日までに時間がかかる場合や、湿気の多い梅雨時期や暑い夏などにエンバーミングを行うことで、ご遺体の状態を保つことができます。火葬が主流の日本ではあまり馴染がありませんが、アメリカでは90%以上の人が行うエンバーミングについてご紹介します。
目次
■エンバーミングとは
■エンバーミングの役割
・修復・化粧
・感染予防
・腐敗防止
■エンバーミングのメリット・デメリット
・エンバーミングのメリット
・エンバーミングのデメリット
■エンバーミングの流れ
■エンバーミングの費用
■エンバーミングの歴史
・エンバーミングの起源
・エンバーミングの技法の原点
・エンバーミング発展のきっかけ
・海外のエンバーミング事情
・日本におけるエンバーミングの歴史
■エンバーミング依頼する際に注意すべきこと
・家族に相談する
・専門業者へ依頼する
エンバーミングとは
エンバーミングとは、ご遺体に殺菌消毒・防腐や修復をした後に化粧を行うことで、生前に近い姿に整える処置のことです。
エンバーミングを日本語に訳すと「遺体衛生保全」となります。エンバーミングを行うのは、専門の資格を持った「エンバーマー」です。ご遺体の消毒や殺菌を行い、一部を切開して血液などの体液を排出し防腐剤などの保全液を体内に注入します。
消化器官などの体内の残存物除去も行います。エンバーミングの目的は様々ありますが、損傷のあるご遺体の修復や清潔に保つためなどが挙げられます。事故にあってしまい損傷が激しい場合や、闘病生活で顔がやつれてしまっていてもエンバーミングをすることで、元気だった頃に近い姿に戻すことができます。
エンバーミングの役割
修復・化粧
エンバーミングでは、ご遺体の修復を行います。長い闘病生活を送っていた方の場合、点滴や薬剤の影響で顔がむくんでいる、痩せて頬がこけてしまうことがありますが、エンバーミングであれば、むくみを取りお顔をふっくらと整えることが可能です。事故などでお顔に傷ができてしまった場合も、特殊な技術を用いて修復したり、注入する防腐剤に色々な色素を混ぜて顔色を調整したりすることもできます。修復したお顔にきれいにお化粧を施します。弔問に訪れた方や遺族は、元気だった頃に近い姿でお別れをすると、弔問者の悲しみを軽減する効果もあるため、エンバーミングを希望する方が増えています。
感染予防
エンバーミングでは、ご遺体に消毒・殺菌を行うため、清潔な状態を保つことができます。それだけでなく、ご遺体に接する遺族や医師、看護師への感染症を予防することに繋がります。例えば、空気感染する結核、飛沫感染をするインフルエンザ、接触感染をするB型肝炎やC型肝炎、MRSAなどの感染予防に効果があります。
腐敗防止
人間の体は死後すぐに腐敗がはじまってしまいます。エンバーミングは薬剤で腐敗を防止します。火葬場の混雑状況などによってすぐに火葬できないケースもあるため、その需要は増加傾向にあります。
エンバーミングのメリット・デメリット
エンバーミングのメリット
●故人とゆっくりとお別れができる
エンバーミングは、消毒・殺菌を行って薬剤で腐敗を防止するため、ご遺体の長期保存が可能となります。通常、火葬までに時間がかかる場合、ドライアイスを使用して遺体の腐敗を防ぎます。ドライアイスの使用容量は冬場であれば20キロ程度、夏場は40キロ程度と言われており、火葬までに日数が空く場合、1日当たり1万円前後のドライアイス代が追加でかかります。
エンバーミングを施すことで、火葬までに時間がかかってしまう場合でもご遺体を常温で保存することができ、腐敗する心配がありません。例えば、海外で亡くなった遺体を帰国させる際にもエンバーミングが行われます。生前の姿に近い状態で日本に帰国した後、葬儀・告別式を行って火葬をすることができます。
また、ご遺体を長期間保存することで、大切な方とゆっくりお別れする時間をとることができます。ご遺族は、葬儀の準備などに追われて、なかなか故人とゆっくりお別れをすることが叶いません。エンバーミングを行うことで葬儀の日程を急ぐことなく、故人と過ごす時間を作って、心の残りのないようお別れするためにエンバーミングを選択する方も多くいらっしゃいます。
●死後硬直や感染症を防ぐ
通常、ご遺体の約6割程度が何らかの細菌やウイルスを持っているといわれています。ご遺体の中でウイルスは生き続け、増加する可能性があるため、感染症を予防するためには、エンバーミングは効果的です。エンバーミングに使用する防腐剤には滅菌効果があるため、エンバーミングを行うと体内の細菌は30分以内に滅菌されます。また、エンバーミングを行ったご遺体には死後硬直がありません。遺族や参列者は故人と触れ合ってお別れをすることが可能になります。
また、エンバーミングは防腐処理を行うので、通常ご遺体の腐敗防止に使用するドライアイスを使用しないため、葬儀社が用意するドライアイスの費用がかかりません。
●故人の生前の姿に近い状態でお別れできる
エンバーミングは、故人の生前に近い姿でお別れできるようご遺体の状態を修復可能です。事故などによってできた傷をきれいに治したり、顔色が悪くなっている場合には調整したりすることで、ご家族や弔問者の悲しみを軽減する効果があります。
エンバーミングのデメリット
●遺体にメスをいれる
エンバーミングは、血管に防腐剤を注入するために皮膚にメスを入れます。傷は最小限にしますが、遺族の中には遺体にメスを入れることに抵抗を持つ方もいらっしゃいます。
●故人と離れる時間がある
エンバーミングを行う時には、ご遺体と離れなければなりません。エンバーミングを行うことができる特別な施設に搬送して施術しますので、すぐに自宅に連れて帰ってあげたい、片時も離れたくないという方がいらっしゃると、ご家族の同意を得る必要があります。
●費用がかかる
エンバーミングは、葬儀の費用とは別に負担が発生します。
エンバーミングの流れ
1.書類の提出…エンバーミングを行うためには、いくつかの書類を提出することが必須となっています。エンバーミング施設に「エンバーミング依頼書(同意書)」と「死亡診断書(死体検案書)」を提出します。書類の提出時に故人の生前の写真も提出するとエンバーマーに参考になります。写真を提出することによって、顔の修復に役立ち、遺族の持っているイメージにより近づけることを期待することができます。
2.遺体の搬送…故人を安置している場所からエンバーミングを行うことができる施設に遺体を搬送します。
3.遺体の洗浄・消毒…遺体の状態を確認した後に、表面の洗浄や消毒を行います。
4.洗髪・洗顔など…洗髪や洗顔、髭剃り産毛処理を行ったのち、保湿剤を塗り顔や顔周りを整えます。
5.体内洗浄・防腐保全処置…体の一部を切開し、血液や体液などを排出します。体内に保全液(防腐剤など)を注入します。動脈から防腐剤を注入し、同時に静脈から血液を抜きます。切開する場所は、故人状態によって異なりますが、約1cm~1.5cm切開します。腹部に小さな穴を開けて胸腔や腹腔に残った血液や残存物を吸引し、その部分にも防腐剤を注入します。
6.縫合・洗浄…メスを入れた部分、腹部に開けた穴などの縫合・修復を行います。事故などで顔や体に損壊がある場合には、損壊部分の修復も行います。縫合・修復が終わったら、最後に全身を洗浄し、衣服を着せて表情や髪の毛を整えます。
7.化粧…ご遺族の希望があれば、化粧を行います。
8.搬送…エンバーミングを行った施設から、自宅などの安置場所へ搬送します。エンバーミングにかかる時間は、ご遺体の状態にもよります。一般的には3~4時間かかるので、半日程度を目安に考えておくとよいでしょう。
エンバーミングの歴史
エンバーミングの起源
エンバーミングの起源は、古代エジプトとされています。古代エジプトでは、死者が復活するためには遺体を保存しなければならないと考えられていました。紀元前3200年〜紀元650年にかけて、主要な臓器を取り出し、防腐のための樹脂が用いられました。エンバーミングという名前の由来は、樹脂(エンバーム)からきていると言われています。
エンバーミングの技法の原点
古代エジプトではじまったエンバーミングは、ヨーロッパの解剖学者によって技法が発展しました。現在行われているエンバーミングの技法の原点は、イタリア・フランスの科学者によるものです。動脈への防腐剤の注入技術の発展やホルマリンの使用などはヨーロッパの科学者によってあみ出されました。
エンバーミング発展のきっかけ
現在のアメリカでは、エンバーミング率が90%を超えています。そのきっかけとなったのは1861年~65年の南北戦争でした。エンバーミングを行った目的は、亡くなった兵士の遺体を故郷にいる遺族の元へ帰すことです。日本では現地で火葬して遺骨を持ち帰るという方法を取ることができますが、アメリカでは火葬が禁止されていたため遺体をそのまま搬送しなければなりませんでした。故郷での埋葬を望んでいる戦死者が多かったことから、移動の際の遺体保全を目的にエンバーミングが行われました。その後、ベトナム戦争でもエンバーミングが行われ、エンバーミング技術が進化したそうです。
海外のエンバーミング事情
アメリカと同様にエンバーミング率が高い国はカナダで、90~95%です。次に、北欧ではイギリスが75%、アジアのシンガポールでは70%となっています。土葬が主流の国でエンバーミング率が高くなる傾向にあります。土葬された遺体が腐敗し体液が地面に染み込むと、地下水に影響を及ぼす可能性があります。感染症も懸念されるため、土葬前にエンバーミングが行われます。
日本におけるエンバーミングの歴史
日本でエンバーミングが導入されたのは1974年です。火葬を行う日本では、エンバーミングを行う人はそう多くはありません。日本でエンバーミングが知られはじめたのは、1995年に起こった阪神淡路大震災です。災害で多くの人が亡くなり、火葬が間に合わなくなりました。その時、遺体を長く保つためにエンバーミングが施されました。その後少しずつですが、需要が高まっています。
エンバーミング依頼する際に注意すべきこと
家族に相談する
エンバーミングを行う時、体にメスを入れることになります。傷は目立たなくキレイに仕上げてもらえますが、メスを入れることに対して抵抗があるという方もいらっしゃいます。家族間でトラブルにならないように、きちんと話合いをして家族全員が納得するようにしましょう。
専門業者へ依頼する
エンバーミングを行うことができるのは、専門的な知識と高度な技術を持ったエンバーマーだけです。しかし、日本ではエンバーマー資格に関する法律が整備されていません。遺体を安全にエンバーミングしてもらえるように、またトラブルを避けるためにも信頼できる業者に依頼することが重要です。エンバーミングを依頼する際には、エンバーミングに関する知識が深くエンバーミング施設と提携する葬儀社に依頼すると安心です。
公益社では、国際レベルの資格を必要とする「エンバーミング」の技術を高水準で提供できる体制で自社管理しています。一般社団法人IFSA(日本遺体衛生保全協会)の会員で、エンバーミングの実績も多数あり、相談者の約5割の方にご依頼いただいております。
海外では一般的なエンバーミングは、遺体の修復・完成防御・防腐を行い生前に近い姿でお別れをすることができるため、日本でも需要が高まっています。公益社ではエンバーミングサービスを提供しています。真心をこめてお手伝いいたしておりますので、ご相談ください。 エンバーミングについてはこちらもご覧ください。
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