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2023/12/06
五輪塔とは?種類と歴史について解説
五輪塔とは、古くからお墓や供養塔として使われている塔のひとつです。
四角、丸、三角、半円の石の上に先が少し尖った丸い石の順番で積み上げられた塔で、墓地などで見たことがあるのではないでしょうか。近年は、四角い墓石が一般的になっているため、新しく建立された五輪塔はあまり多くは見かけなくなりました。
今回は、五輪塔について解説します。
【目次】
■五輪塔(ごりんとう)とは?
・五輪塔の構造
・五輪塔の材質
・五輪塔の意味
・納骨方法について
■五輪塔の歴史
・五輪塔の誕生
・五輪塔建設の理由
・五輪塔は身分の高い人のためのもの?
・五輪塔と結びつきが深い宗派
■五輪塔の種類
■五輪塔に彫刻する文字
・梵字とは?
・五輪塔に刻まれている文字の意味
五輪塔(ごりんとう)とは?
五輪塔は、昔からあるお墓のひとつです。
五輪塔の構成や意味、材質や納骨方法について紹介します。
五輪塔の構造
五輪塔の構造は、下から方形・円形・三角形・半月形・宝珠形の5つの石から成り立っています。五輪塔は、インドの五大思想を基にした日本独自の建築物です。それぞれの形は一定ではなく、建てられた時期や場所によって材質が異なるという特徴があります。下から地、水、火、風、空を意味しており、地から積み重ねていき最後は空に到達して五輪塔の形が完成します。宋から伝わった石造りの高度な技術によって、硬質な石を使って建てられていました。鎌倉時代に建立された五輪塔は、「鎌倉型五輪塔」と呼ばれています。
五輪塔の材質
五輪塔は、ほとんどの場合、石が使われています。安山岩や花崗岩のものが多く見られますが、特に決まりはありません。古い五輪塔の中には凝灰岩のものもあります。国内の石を使っていることが多いのですが、多くの場合、加工は海外で行われるケースが増えています。
材質に決まりはないため、金属、鉱物、土、陶、木を使用して建てられた五輪塔も存在します。
五輪塔の意味
五輪塔の5つの石については、諸説ありますが、仏教界で地上を構成する5大要素「地」「水」「火」「風」「空」を表しているという説が有力といわれています。インドでは、宇宙を構成する5つの要素とされており、他にも五体満足という言葉があるように五輪塔の5つの石は「足」「手」「胸」「顔」「頭」と人間の体を構成しているという説もあります。
納骨方法について
五輪塔には水鉢がありません。そのため、和型墓石と同様に水鉢を外して納骨することができません。五輪塔をお墓として用いて納骨する場合は、拝石納骨と納骨蓋からの納骨が一般的です。拝石納骨とは、和型墓石の前面に設置されている、香炉や花立が乗っている部分の「拝石」と呼ばれる板石を動かして納骨をする方法です。高い位置から納骨ができるため、作業しやすいというメリットがあります。納骨後は、固定し密閉するので納骨室へ雨水などが入り込むことを防止できます。
納骨蓋からの納骨は、お墓の土台部分中央の納骨蓋を取り出して納骨する方法です。低い場所から納骨することになりますが、最も簡単に納骨を行うことができます。構造から、納骨室を広く作成することができるというメリットがあります。
五輪塔の歴史
五輪塔はどのようにして誕生したのか、また、建設されるようになった理由について解説します。
五輪塔の誕生
五輪塔が誕生したのは、平安時代の後期といわれています。五輪塔の歴史については諸説ありますが、一説ではインドで使われていた遺骨や遺髪を収めていた容器が起源ではないかといわれています。しかし、インドで使われていたというその容器は、未だ見つかっていません。中国や朝鮮半島でも五輪塔が見当たらないことから、五輪塔は日本で独自に生まれたものであるとの説が最も有力です。
五輪塔建設の理由
五輪塔が誕生した平安時代より前の時代は、一般庶民のお墓はありませんでした。死者は穢れているという考えが強かったため、ただ埋葬されるだけで、その上を人や犬などが踏まないように目印が建てられているだけでした。平安時代に入ると、庶民の間に宗教的な価値観が広がるようになります。浄土教の教えが広まり、極楽や地獄といった概念が生まれて庶民にも死後の世界があるという考えが普及していきます。
全国に五輪塔を広めたのが「覚鑁上人(かくばんしょうにん)」です。
覚鑁上人は小さな木製の五輪塔を持って、五輪塔で供養をすると極楽浄土へ行くことができるという考えを広めたことにより、鎌倉時代に建てられた新しいお墓のほとんどが五輪塔となりました。現在でも歴史的遺産として多くのものが残されています。
五輪塔は身分の高い人のためのもの?
五輪塔は平安時代以降に建てられるようになりましたが、当初は貴族など身分が高い人のためのものでした。鎌倉時代から戦国時代にかけては、武将のお墓として建設されることが多くなりました。
室町時代になると、身分に関係なく、極楽浄土に生まれ変わりたいと思う人が、建立するようになったのです。
やがて江戸時代の中期になると、現在主流になっている和型墓石が建てられるようになり、五輪塔を建てる人が減っていきました。
五輪塔と結びつきが深い宗派
五輪塔が誕生した平安時代は、宗派ごとの違いはありませんでした。江戸時代になると檀家制度が導入され、宗教や宗派ごとの決まりができたことによって、五輪塔との結びつきが深い宗派がでてきました。●真言宗
空海によって開かれた真言宗は、五輪塔を最初に普及させた密教の一派です。そのため、真言宗を帰依している人のお墓は一般的に五輪塔を建立します。
●浄土宗
浄土宗は、五輪塔で供養することがあります。五輪塔の上から「南無・阿・弥・陀・仏」と刻みます。
五輪塔の種類
五輪塔の形は大きく分けて3種類あります。
- 長足五輪塔:地輪の四角形が長い
- 三角五輪塔:火輪の三角形が三角錐になっている
- 一石五輪塔:1つの石で作り上げている
形や材質が違う理由は、建てられた時期や地域が異なるためです。鎌倉時代以降の五輪塔は背が高く重心が高くなっています。鎌倉時代以前に建築された五輪塔は、背や重心が低くて小さいという特徴があります。
五輪塔に彫刻する文字
五輪塔に彫刻されている5つの文字は「梵字(ぼんじ)」といわれています。ここでは、五輪塔に刻まれている文字にはどのような意味があるのか解説します。
梵字とは?
五輪塔や卒塔婆に記されている「梵字」は、古代インド語を表す文字です。仏教と一緒に日本に伝えられました。お墓で梵字を見かける理由は、仏教と深い関係があるためです。平安時代に、天台宗の開祖である最澄や真言宗の開祖である空海によって梵字で書かれた経典が日本に持ち込まれました。梵字は仏教の修行に取り入れられ、独自の文化を生み出すほどに発展したのです。
墓石に刻まれている梵字には、宗派のご本尊への敬意とお守りくださいという願いが込められています。
五輪塔に刻まれている文字の意味
●地五輪塔の一番下に位置する土輪に刻まれている梵字「地」は、アと読みます。
土輪は全ての角が直角な四角形です。地には、大地、個体、安定という意味があります。
●水
五輪塔の下から二番目に位置する水輪は丸い形をしていて、刻まれている梵字「水」は、ヴァと読みます。
水輪は水を表していますが、液体などの変化する形がないものを意味しています。
●火
五輪塔の真ん中に位置する三角形の石火輪に刻まれている文字「火」は、ラと読みます。
体温や熱、エネルギーや人の情熱、欲求を意味しています。
●風
五輪塔の上から二番目に位置している風輪は、半月の形をしていて梵字「風」は、カと読みます。
風には、気圧や空気、成長や自由、呼吸という意味があります。
●空
五輪塔の一番上に位置している空輪は、宝珠の形をしています。梵字「空」は、キャと読みます。
空は、虚空やスペースが大きく広がる空間を意味しています。また災難を取り除き、水を浄めるという意味もあります。
宇宙を構成する6大要素
真言宗の開祖である空海は、宇宙は6つの要素から構成されていると考えました。五輪塔に対応している5つの要素「地、水、火、風、空」に加えて、知識の「識」を加えた6つの要素によって、宇宙や人が形成されると考えたのです。死者の魂に知識が入ることで、新たな生を受けて転生できるようにとの願いが込められているのです。会員入会で葬儀費用がお得になります
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