カトリックの葬儀
「キリスト教のお葬式」は、他の宗教葬儀に比べて全体の数としては少なめになります。
また、その「キリスト教のお葬式」は、さらに、「カトリックのお葬式」と「プロテスタントのお葬式」に分けられます。
ここでは、この2つの違いに注目しつつ、実際のお葬式での儀式やしきたりの違いや注意点について解説いたします。
カトリックとプロテスタントの葬儀の違い
カトリックとプロテスタントは、同じ「キリスト教」であっても、その考え方に大きな違いがあります。
カトリックは、考え方の根本に「伝承と聖書を、共に神の啓示として考える」という姿勢があります。映画などでもよく取り上げられるバチカンのローマ教皇の言葉を重んじるのは、彼の言葉が、この「神の啓示」と同じものだと考えられているからです。
一方、プロテスタントは、聖書を絶対的なものとして扱います。カトリックは、ローマ教皇を文字通り「頂点」としますが、プロテスタントにはこのような考え方はありません。
カトリックでは神の許しを得るためには、洗礼や聖体拝領、油を使うことなどいくつかの秘跡(ひせき※神からの許しを得るために行う儀式のこと)を必要としていますが、プロテスタントの場合はこの限りではありません。このような考え方の違いは、葬儀の場においても現れます。
まず、カトリックの葬儀においては、宗教者は「神父」と呼ばれます。対してプロテスタントの場合は「牧師」と呼ばれます。さらに、カトリックの場合は、油を使った秘跡や聖体の拝領、臨終の祈りなどを必要としますが、プロテスタントの場合は油を使った秘跡は必ずしも必要なわけではありません。
亡くなられてから埋葬までの手順
ここでは、カトリックにおけるご臨終~葬儀の流れについて紹介いたします。
(1)終油の秘跡(塗油の秘跡)・聖体拝領・臨終の祈り
仏教の葬儀というのは、多くは「亡くなった後」に始まるものです。しかし、カトリックの場合は異なります。
カトリックの場合、大切な家族が危篤の状態に陥った場合、その段階で神父を呼ぶことになります。つまり、臨終前から宗教者に立ち会ってもらうことになるのです。
カトリックにおいて、罪の許しを乞う秘跡の一つとして「病人に対して行う塗油の行為」があります。これはこの場においても行われます。
旅立ちが安らかであるようにと願い、額などに油を塗ります。これによって、今までの人生の罪の許しを乞うことができると考えられています。
次に行われるのが、「聖体拝領」と呼ばれるもの。これは、パンとワインを与える、という儀式です。だれもがよく知るキリストの最後の晩餐が、この儀式の由来となっています。その後に、神父による臨終の祈りがささげられます。ご遺体を移動する段取りを行うのは、この後からです。
(2)納棺式
意外に思われるかもしれませんが、カトリックにおいて、「納棺の儀式」については、特にこれといったやり方が定められているわけではありません。ただ、現在では慣習として、ご遺体に白い布をかけて棺にお入りいただくというやり方がとられています。これは、プロテスタントと同じやり方です。
この後で、棺のなかを生花でいっぱいに埋め尽くします。このように「花をもって大切な人を見送る」という考え方は、仏教とも似ています。
(3)通夜の集い
これも、カトリックにおいては特に定めがありません。現在では、神父とともに歌を歌い、聖書を朗読するかたちをとっているところが多いです。このあたりは、仏教との大きな違いになりますが「故人の思い出を語り合う場でもある」「神父による説教が行われることもある」という点では共通しています。
(4)葬儀・告別式
カトリックにおける葬儀は、入堂聖歌・開式の辞・葬儀のミサの流れで行われます。
また、告別式は、入堂聖歌・聖歌斉唱・弔辞・弔電の紹介・献花・遺族の挨拶が行われます。
このなかでも特徴的なのは「葬儀のミサ」です。このときには「言葉の典礼」と「感謝の典礼」が行われます。前者は、神父が行う説教と聖書の朗読を指し、後者は聖体拝領の考えに基づくものです。感謝の典礼のときは、ご遺族がパンとワインをささげ、それを神父が参列者に配ります。
(5)出棺式
白い布をめくり、最後の別れを告げます。このときに献花をすることになりますが、その流れは以下の通りです。
1.両手で花を受け取る。右手は手のひらを上にして、左手は下にする
2.祭壇に一礼する
3.花を回し、茎のほうを祭壇側に向けて献花台に置く
4.黙とう(手を合わせる)、もしくは一礼して、さらに遺族へ一礼して席に戻る
(6)火葬
キリスト教の基本は「土葬」ですが、日本では火葬が主流になります。棺の中は花で満たされ、棺の蓋の上にも花(十字架を置くこともあります)を置き、参列者の最後の祈りと神父の祈りに見送られ、火葬が行われます。骨壺に収骨するのは他の宗教と同じですが、桐箱の覆いは黒色で十字架のついたものを利用する場合が多くあります。
(7)葬儀後について
葬儀後は、「召天記念日(亡くなって1か月後)」にあわせて埋葬されるケースが多くなっています。また、ご逝去後3日目・7日目・30日目に追悼ミサを行います。その後の追悼ミサは、毎年命日に行われます。
カトリックの葬儀の注意点
カトリックの葬儀では、「お布施」という表現は使いません。教会に寄進するという意味で、「献金」としてお渡しするかたちが一般的です。
なお、遺影に関しては慎重になる必要があります。「絶対にだめ」というわけではありませんが、目立つところに飾ることはありません。また、供花も受け付けませんから、この点にも注意が必要です。
カトリックの葬儀料金相場
葬儀料金の相場は、内容によって40万円ほど~となります。自宅・教会・セレモニーホールなどの場所にもよりますが、一般的なお見送りでは総額で100万円ぐらいが目安となるでしょう。人数や物品のグレードによって費用は調整がききますので、事前に公益社にご相談いただき、ご予算と折り合いを付けておくとご安心いただけます。
公益社のキリスト教葬儀では、お見積りの際に教会の使用料やお花代などまで、必要なものを明確にしながらご提案をしています。そのため、過不足のない総額が算出されますので「こんなにかかるとは思っていなかった!」などのトラブルを避けることができます。ぜひ一度、公益社にご相談ください。
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