曹洞宗の葬儀
同じ仏式の葬儀といえども、宗派によってマナーや流れに特徴があることがあります。曹洞宗はそうした宗派のひとつです。曹洞宗での葬儀には、ほかの宗派での葬儀では見られない特徴があります。
今回は、曹洞宗の葬儀で見られる特徴や独自の流れなどをご紹介します。
曹洞宗の葬儀とは
曹洞宗は、仏教の中でも禅宗と呼ばれる宗派の一派です。曹洞宗の葬儀には、独自の役割が考えられています。
・死後にお釈迦様(釈迦如来)の弟子になるために行う
・弟子になるために必要な戒名・戒法を授かるための「授戒(じゅかい)」を行う
・悟りを開くために、仏の道へ導くための「引導」を行う
この「授戒」と「引導」が曹洞宗の葬儀のポイントになります。
曹洞宗葬儀の式次第
曹洞宗の葬儀の流れは、他の宗派に比べて特徴的です。
剃髪(ていはつ)の儀式:導師(引導を渡す僧侶)が剃髪を行う
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授戒:後に説明する5種類の儀式を行う
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入棺諷経(にゅうかんふぎん):読経、焼香を行う
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龕前念誦(がんぜんねんじゅ)
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挙龕念誦(こがんねんじゅ):曹洞宗葬儀での特徴のひとつ・太鼓やハツを鳴らす鼓鈸三通(くはつさんつう)を行う
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引導法語:導師が故人の生前を漢詩で表し、松明で円を描き、悟りの世界に導く(=引導)
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山頭念誦(さんとうねんじゅ)
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出棺:再度、鼓鈸三通を行い、出棺する
〈授戒で行う儀式〉
・酒水(しゃすい):清い水を手向ける
・懺悔文(さんげもん):生涯で犯した罪を反省する
・三帰戒文(さんきかいもん):仏陀の教えを守り、修行者として帰依することを誓う
・三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)・十重禁戒(じゅうじゅうきんかい):導師が用意した法性水を故人の頭や位牌に注ぐ
・血脈授与(けちみゃくじゅよ):血脈を霊前に供える。血脈とはお釈迦様から故人へと続く仏法の系譜を記したもののこと
曹洞宗葬儀の焼香の作法
焼香の方法は宗派によって異なるポイントのひとつです。葬儀に行くたびに迷われる方も多いことでしょう。曹洞宗では、以下のように焼香を行います。
焼香台に進む
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焼香台の2、3歩程度手前で立ち止まり、ご本尊、遺影、位牌に軽く一礼
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焼香台まで進み、右手でお香をつまむ
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軽く左手を添えて額に押しいただき、念じてから焼香をする(正念)
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1度目に焼香したお香のそばに2度目の焼香をする(従香(じゅうこう))2度目は額に押しいただかない
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数珠を両手にかけ、合唱・礼拝
ポイントは、「焼香は2度」「1度目は額に手を持っていき、2度目はそのまま」という2点です。なお、会葬者が多い際には「焼香は1回で」と指示されることもあります。
曹洞宗葬儀の香典の包み方
葬儀に参列する際に迷いがちなものが香典の表書きです。曹洞宗では、「御霊前」または「御香典」を使用します。
筆ペンを使用し、水引の下中央に差出人名をフルネームで記載します。複数人で香典を渡す場合は、「〇〇一同」などとするケースもあります。その際は中に個々の名前と金額・住所を記載した明細を同封しておきましょう。
金額は一般的なものと変わりません。友人であれば5,000~1万円程度、勤務先の関係者であれば5,000円程度、身内の場合は年齢・間柄によって変動しますが、1~10万円の間となります。
お札は、香典の場合、新札は不適切だとされることが多いです。そのため、綺麗なお札の場合は一度折るなどしておきましょう。かといって、汚れていたりあまりにもくしゃくしゃになっていたりするお札を使うこともNGです。
お札を入れた中袋は、左・右の順に上包みの紙をかぶせ、上側が下側にかぶさるように包みます。
曹洞宗葬儀の費用相場
曹洞宗の葬儀本体に必要な葬儀費用は、人数・場所を明確にした上で見積り、金額を算出することができます。
仏式の葬儀費用として宗派ごとに違いが現れる点が、寺院に納める御布施になります。お付合いの度合いや戒名の位により金額に幅がありますので、目安を知りたい時は菩提寺のご住職にお伺いを立てましょう。
御布施とは別に、お車代・御膳料(会食に僧侶が参加されない場合など)に配慮してお気持ちを表現されるとよいでしょう。お車代・お膳料は5,000~2万円程度が目安になります。
まとめ|曹洞宗葬儀の準備に不安があるならまずは事前相談から
信徒であったとしても、宗派独自の葬儀のしきたりについて、知らないことは多いものです。あやふやのままにせず、まずはどんなことでも公益社にご相談ください。
公益社では、24時間365日無料でご相談を受付けております。ご相談方法もご都合にあわせてお電話や対面相談などを承ります。対面の場合はご自宅や公益社会館・営業所など、日時だけではなく場所の指定も可能です。喫茶店やファミリーレストランなどにお伺いすることもありますので、ご都合にあわせてお申し付けください。
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